牛のお産

続いてショック

日曜朝、少し遅くなって産室を覗きに行くと、うんうんとうなって立てなくなっている牛がいた。
餌は食べていないし、あまりしんどそうなので心配になり、獣医さんを呼ぶも、日曜日。
留守電に一応症状を伝えておくが、1時間しても留守電のままなので、非番の先生に電話をして応急処置を教えてもらって、注射をしておく。

昼になった頃、先生到着。
急いで牛舎に行ってみると、破水。「あれは陣痛じゃったんか?」と思いながら、寝たままの牛の陰部に手をいれて診察している先生の手伝いあれこれ。
足を引っ張りだして産科チェーンを掛けるも、「頭・・・頭はどこだ・・・」と唸る先生。
なんと、胎児は頭はこっちを向いているものの、仰向け、しかも首を横に折っている状態だったのだ。
これでは出て来れない。
先生手持ちのワイヤーで頭を引っ掛け、体制を立て直そうとするが、なかなかかからない様子。
10歳令、陰部も産道もしっかり緩んでいるが、先生は肩まで手を突っ込んだまましかも寝転がった体制での作業。大きい胎児で、一刻を争う・・・が、もう時間の間隔なんかわからなくなっていた。

ようやく、体制が整い、3人で一気に引っ張りだす。逆さにすると羊水がどんどん出てくる。たっぷり飲んでいた上、心臓が動いていなかった。心臓マッサージしてもらうも、戻ってこないままだった・・・。


それから2日、親牛はまだ立ち上がらない。
黒牛には珍しく、第4胃左方変位を起こしていた。お産の後遺症なのか、これが原因で異常産になったのかはわからないが、とにかくまだ苦しんでいるので、こまめに水を与えたり、体位に気を配ったり続けている。

お産のショック

4月9日出産予定日だった子が、3日遅れて陣痛がきていた。
初産で、まだ少し小柄。痩せ気味で背中が落ちていたので、臨月にはものすごくしんどそうに見えていた。
そんな牛が、昼頃からしきりにお腹を蹴飛ばしてみたり、落ち着かなく立ったり座ったり。
ああ、これは陣痛だなと思い、ちまちま暇を見つけては見に行くのだが、とても陣痛が辛いのが見て取れる。

人間の初産でも、こんなに陣痛の辛い人の話はよく聞くなぁと思いながら、観察の合間にエサをやったり子供の宿題をみたりしていたら、夜7時半頃、見に行った旦那から「お産始まったぞ~!」の声。

牛から出ているぶっとい足。
それなりに大きいらしい(原平茂産子)。・・・初産なんだから、小さくなる組み合わせにしたはずだが・・・
幸い、産道もよく広がっているし、陰部もよく緩んでいる。
・・・が、肩をたたんでちょいと引っかかっているらしかった。
旦那が、産科チェーンを掛け、父も加わり3人で一気に引っ張りだす。
親は、立っていたのが途中で横になったので、ちょっと引っかかったがすぐ全体を引き出せた。

子供は、息をさせ、逆さ吊りにして羊水を吐き出させ・と、処置をしているうちにすぐじたばたし始めた。見つけたのが早かったらしく、お産でさしてつかれていないらしい。
が、親の方はなかなか動かない。もう放心状態で頭真っ白ですという体。
それでも、そのままにしておく訳にはいかず、叩くやら脅かすやらしてようやく起こす。
ふらふら・という感じで子供に近づいてみはするが、なめない。
突きこそしないが、なめない・・・濃厚飼料をこの体に塗りつけてみても、なめない・・・

これはこまった!

しかたがないので、人間がタオルとドライヤーでかわかすが、親の方は子どもと人間から逃げる・というよりはそれが怖くて固まって動かない状態。
子供は早いうちからじたばたして、半濡れの状態で立とうとする。
冷凍初乳を解いて用意するが、それより早く飲ませろというので、固まったままの親のところへ連れて行って支えながら飲ませる。少し、子供が大きくて、体の下に入るのが難しそうだったけどよく飲み、更に冷凍初乳も飲んだので、親のロープを放してやった。
・・・ら。
まだ飲み足りない子牛が、腹の下に潜った途端に足を上げる。・・・つまり、子牛を蹴るのだ。

舐めないことといい、授乳を嫌がることといい、よほどお産がきつかったのか。
すっかり、子牛に対する本能が消えてしまっている。
これは、お産前に他の牛の出産を見て勉強していないせいもあるかもしれないが、忘れてしまっているのだそう。
今朝(お産12時間後)になっても、やはり子牛に乳を飲ませていない様子だったし。
(親をつないだら、観念したのかおとなしく乳を飲ませていたが)
しばらくしたら、離乳しないといけないだろうが、初乳を飲ませる期間に思い出してくれると良いのだけれど・・・まず前例がないのだな・これが。・・・残念!!

新年出産

新年開けて、早速12月29日予定の子牛が出産。
初産でしたが、一人で産んで綺麗に舐めていて、見つけたときには子牛は上手におちちを飲んでいました。
まわりでたくさん生んだのを見て、よく学習したようです。

2日は、私の実家に挨拶へ行くのが恒例なのですが・・・今年は12月19日予定の牛がまだ産まずにいるのが気になって気になって・・・おもわず、牛に
「帰ってくるまで産むんじゃないよ」
って頼んでしまいました。

帰ってきてから様子を見ても、よくエサを食べるわ、噛み返しをしてるわ、まだ早そうだなと思って寝てしまいました。
そして、今朝。
少し早く起きて牛の様子を見てきた父から、「子牛が生まれとるぞ」の声で起こされました。
これまた、すでに親の乳を飲んでいる状態。
こっちはベテラン経産婦なんですが、大きな仔牛を一人でよく産んだもんだ。40kgとはいいませんが、35kg級。

今年も元気な仔牛がたくさん生まれますように。

立て続け

日曜日の朝、少し寝坊して乳搾りを終え、牛舎の見回りに出かけると予定日から一週間遅れの牛が産気づいていました。
まだ少し時間に余裕がありそうだったので、急いで子どもを起こして朝ごはんを一緒に食べて、皆で早速とりかかりました。

原平茂の子で、少し遅れめ、少し大きめ。でも、介助なしでも生まれたかも?位の大きさの元気な子でした。
これくらいの子にありがちなのが、母親の乳房の高さに比べて、子牛の背が高いこと。
この子もそうで、親の乳を探るのに往生していたのを手伝って、無事、たっぷり初乳を飲めていました。


午後、餌をやりにいくと、今度は5日遅れの子が産気づく。
他の仕事をしながら、度々見に行って、足が見え始めたのは5時頃。
これが大きな足で。
滑車を使って引っ張るか?と思われたけれど、さすがの経産婦。40kgはあろうかという仔牛を大人ふたりで引っ張り出せました。
親は疲れた様子も見せず、羊水を吐かせたり、へその緒を始末する間中「早くなめさせろ」といっていました。

ところが、仔牛のほうが疲れはてていて、なかなか立たない。
立ったはいいが、背が高くて。・・・親の方はどちらかというと背が低くてがっしりしたタイプ。
親の肩口を、乳を探してまさぐる始末。
景気づけに、冷凍初乳を含ませて、親の乳の下に押し込む。・・・押しこむという表現がおかしくないくらい頭を下げさせ、前足を伸ばさせてようやく親の乳にたどり着く。

一度覚えれば、後は他の三本も一気に・と行きたいところが、子牛にとっても大変な姿勢なので、いちいち一息つきながらも、全部飲む。

外は雨。
しっかり保温して、他の牛たちの餌やりに行きましたとさ。

賢茂勝の子の子だが、親が宮島で糸系。・・・でかくなるわけだ・・・

やったね初産!

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13日朝、乳しぼりを終えて、牛舎の見回りに行くと、壁にくっついて寝ている牛が私を見上げて「モウー・・・」
壁と牛のお尻間を見てみると、足が・・・

予定日から3日目だから、そんなに大きくなってないとは思うけど、初産だし、見つけたら介助だぜってことで、家族を呼びに行く。
長い間、ひとりで上手にいきめてなかったら、子どもが危ないな・とか、大きくなる種雄牛つけてなかったよな・とか考えながら、ひっぱりだしたら、普通サイズのオス仔牛。

親の方は、ゆっくりやってきて、仔牛を舐め始めた。・・・この子は、他の牛のお産を見て勉強していないのでどうするかな?と不安だったが、まずは合格。
静かにさせておこうと、少しの間離れて他の牛を見に行ったり、冷凍初乳を溶かしたりして30分。
親も子も「疲れました」風に寄り添って寝ている。初乳を飲ませようと立たせてみたら、まだずいぶんぬれている。さすがに初めてのお産は辛かった様子です。

その後、親の乳に吸い付こうとする仔牛のおしりを追いかけまわして、結局頭をつながれてようやく飲ませることが出来たりで、落ち着いたのでした。

写真は、まだ初乳も飲んでいない仔牛。うす暗い牛舎で、フラッシュなし(刺激しないように)だと、さすがに見にくいですね

人工呼吸

昨日は、アカバネ予防注射の二回目で先生に来ていただいたついでに、予定日から10日遅れの未経産牛を診てもらう。すでに、子宮口は開きかけ、先生の見立てでは、「後2日くらい」

・・・が。
なんとなく覚えはあるが、内診をされるとその気になったらしく。
夕方には産気づく。

一時間おきに皆で交代に見に行って、夜中11時過ぎ。
「足が覗いてるぞー」
との、旦那の声で外へでる。

先生の見立て通り、予定日を過ぎた分大きな仔牛。産道がギチギチ。滑車も使って、おとな4人がかりで、ゆっくりゆっくりひっぱり出す。
肩が、なかなか出てこない。片方抜けて、もう片方抜けて。その間、鼻先だけが見えていた。
産道に指を突っ込んで、頭をなでるように産道を拡げる手伝いをしながら、頭が抜けたところで一気に引っ張って!

出てきた!が、目の色が悪い。
舌もうまく動かさない。前足を持って、胸を開いたり閉じたりして呼吸を促すが、なかなか自力で始めない。

そこで、まず父が人工呼吸。
片方の鼻を塞ぎ、口を閉じた上で、塞いでない方の穴に息を思い切り吹き込む。
二回ほどやって、様子を見るが、まだ自力呼吸を始めない。
(ここで、父は諦めた・と後で言っていた)

真似して私もやってみる。
一回目。うまく吹きこめた感じがしない。
二回目。なんだか思い切り風船に空気が入ったような感触。・・・どうだ?
     まだ反応が薄い。
三回目。一回目と同じような手応え。

ダメかと思ったが、よく見たら、ずっと旦那が続けていた動きと別のリズムで腹が動いている。
どうやら自力呼吸を始めたらしい。目と舌の色が良くなってきた。舌も動き出したので、少し吊るして羊水を出させる。

助かった。・・・助けられた。

このあと、初産の割にたっぷりはった乳をしっかり飲んだ挙句、冷凍初乳を1.5リットルも飲み、仔牛も人間も安心して眠ることが出来ました。

こんなこともある

Dsc04072

この子牛。生まれてすぐからお母さんに見放されています。

お産を見つけたのは、21日朝7時半。子供たちを送り出した後、牛舎を覗くと、袋に包まれた足が覗いているのが見えたので、皆をよんでの介助産。
ところが、何が悪かったのか、お産がそんなにしんどかったのか、子牛のほうには見向きもしない親。
舐めに来ることもしないので、ドライヤーとタオルで、人間が全部ふき取って乾かして。
それでも、落ち着いたら面倒を見るかと思いきや、立ち上がって乳を捜す子供を蹴り飛ばし、寄り添おうとするのを顔でひきはがす。

どうも、子牛を産んだことを認識していないか、産んだ子牛をわが子と認めていないらしい。

仕方がないので、親を縛り付けて乳を飲ませ、冷凍初乳を解いて飲ませ、牛房から出して寝かせることに。

そして、今のところ日に3度ほど、親をつないで乳を飲ませています。最低でも3日、せめて一週間。親の乳の濃い間は、親のを飲ませてやろうと思っています。

・・・そのあとは、乳牛のしろくろさんに養ってもらう予定です。

時間差

朝うす暗い内から、乳搾り。それでもずいぶん明るくなるのが早くなりました。

哺乳瓶でミルクをもらう仔牛にも飲ませて、最後にお産の牛の確認をして、子供を起こして朝ごはん…・がいつもの朝なんですが。
今朝は、予定日からまたも10日遅れた牛が産気づいていました。
羊膜が風船のようにのぞき、陣痛に耐えていました。

とりあえず。
綺麗なおがくずを、牛房に敷き詰め、父と旦那を起こし、おがくずを取りに行って。
旦那が確認したところ、まだすぐには産まないだろう・と。・・・すぐだと困るんです。今からお弁当も作らなきゃいけないんです。今日は。

時間があるとわかったので、急いで子供を起こして弁当作って、朝ごはんを食べさせて学校へ送り出して。この間約一時間。
牛の方は、少しづつ状態は進んでいって、じわじわと産道をのぼって(おりて?)来ていた様子。

スクールバスに乗せた時点で、朝7時半。まだ足は出てきてないので、朝食食べて。
8時になって見に行ったら、足が出てきて、介助でお産。

さすがに10日も遅れていたら、こどもは大きくなっていて!ひっぱるのに力がいりましたが、産道がよく広がっていて、時間かからずに出すことが出来ました。
早く出せれば、飲んでいる羊水も少なく。
体力があったのでしょう。生まれて一時間ほどで見に行った時に親子ともども寝て休んでいましたが、おからをやると親は立ち上がって食べ始め、仔牛もつられて立ち上がり初乳をしっかり飲み始めました。


とりあえず、子どもたちとお産と、時間差で対応出来てよかった

10日遅れ

うちで二番目に年の多い牛(13歳)が今朝お産しました。

桜の開花情報では、満開マークの広島ですが、この山の中はつぼみもまだ固く、今朝の気温も零下5℃。
そんな中、予定日から10日も遅れての出産。
明け方頃生まれたのか、朝の巡回に行った頃には、しっかり乾いて立って親の初乳を飲んでいました。

予定日から早くなったり遅くなったりするのは、種オスの影響らしいですが、あんなに遅れても無事に生まれてよかった。

冷え込む

今朝は零下13度。
鼻で息をすれば、凍る感触が楽しめます(笑)

そんな朝6時半。
乳牛の乳を搾ろうと、牛舎のテントを上げると、びっしょ濡れの子牛とそれをなめる母牛。
皆を起こして、電球をつけるやら、、臍の緒を縛るやら。
でもこのお母さん、人の手に触れられるのを嫌がるし、経験豊富で上手なので、任せることに。

乳を絞り終わって、見ると子牛はまだなめられている最中にもかかわらず、舌を出して乳を飲む仕草。
チュウチュウ音を立てているのを見ると、初乳を飲むのは早そうです。

案の定、一時間もたたないうちに、自力で立ち上がり、親の乳を上手に飲み始めてました。

今日はよく晴れそうです。
お天道様はすごいもので、直射日光が当たっているとはいえ、日の出から一時間で零下8度まで温度計の目盛が上がっていました。
過ごしやすい日になりそうです。

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